待っていたの
こんな事があっても、朝はやって来る。


夜中の間に何回浴びたか分からないシャワーを浴びにいく。



全部、虚ろな表情でまるで義務のように…服も、薄い薄い青を纏い、濃く化粧をする。


首に付いた真っ赤な無数のキスマークを隠す為に、コンシーラを使い一つ一つ丁寧に消して、手首の拘束の跡はごっついブレスレットで隠した。


こんな事をしている、自分を酷く惨めに思いながら、隣にメイドさんが来て悲鳴を上げた事も、自分とは関係ない場所であった遠い出来事のように思えた。


「陛下…!!陛下がいらっしゃいません!」

走って外へ出ていったのを確認しながら、何も言わずに置いて行った朝食を並べる彩。


(身体が…動かす度に痛い、正直…休みたい)


「はぁ」

ため息をつくと壊れた扉を叩く音がする。

―コンコン

「陛下失礼いたします」


数少なく寝室に入れる人の内のひとり、曹宰相がいらっしゃった。


「朝はやくから、ご苦労様です。陛下に火急の用がおありなのでしょうか?」



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