待っていたの
そう言われ、陛下の後ろつまり玉座の後ろに立つ。


今日は紗が左右に広げられ、最初の時よりも人が少ない。
重臣や議題に関わりのある部署の人材が、集まる。

「これから、冬に備えての備蓄をいかがいたしますかの?」

「今年の上がりは十分だと聞いております、余剰分を安く買い取り備蓄しましょう」

特に何も問題ないのか、スルスルと会議も終わりに差し掛かる。


「陛下の婚姻の儀は、二週間後に決まりました。皆様どうぞよろしくお願いします」

「初夜の儀式はもうお済みじゃから、形式的なものにしておこう」

「陛下も姫もまだ若い、はやくお子のお姿を見たいのぉ」

「仲睦まじい様子、すぐに出来ようて」


彩の気持ちなど、誰も考えずに、話しがどんどん進む。
むしろ彩が結婚する事を、望んでいるような口ぶり。

その話しの最中に、栄達が口を挟む。

「ねぇ、姫はどっちだと思う?池の工事が先か橋の工事が先か…」

「…………」

「わからないの?」


栄達が馬鹿にした顔で罵る。

彩は陛下を見る。
すると陛下がひとつ頷く。



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