待っていたの
「話して下さい」

また身分の関係で、話せないのかと、話す事を形式的に私が許さなければいけない。


口を指しフルフル首を寂しそうに振る。


「え……、まさか!」

「嬢ちゃん、そいつらは話せねぇ」

ここの囚人達を束ねる曜さんが話してくれた。


「ご、ごめんなさい!」

ペコペコ頭を下げると気にするなとでもいうように、首を振り顔を上げさせてくれる。


「嬢ちゃん、そいつらは秘密を漏らさない様に話せない奴らを集めて看守にしたてている」

「っ………!」

手話があるけどこの国では通じない、でも気持ちは顔を見ていればわかる。
行動で伝わる。


―…優しい人達だ。


スカートの裾を縛り、掃除に励もうとしたら、真っ赤な顔をして極力見ない様に看守達は俯き、囚人達からは歓声が上がる。

「嬢ちゃん…あんまり肌は露出するもんじゃないぜ…」

ため息と共に、胡座をかいて呆れた目線で私を見ている曜さんの視線とぶつかる。



.
< 76 / 243 >

この作品をシェア

pagetop