待っていたの
「陛下は余程、嬢ちゃんを離したくないと見える」

「え……?」

汗で少し落ちた化粧から覗く真新しい、キスマーク。足にも所々ある所有の印。

「ぎゃあ……!」

恥ずかしくなり、しゃがみ込む。


「ま…仲良さそうでよかった」

「仲良くなんてないもん…」

曜さんは怖そうだけど、子供やお年寄りに優しそうな人、彩の父と同年代だ。


「まぁ…来てすぐだもんな…」

何かを察したのかそれ以上語らず、彩は掃除を始める。


ついつい白夜達の事を忘れたくて、歌を歌う。


異世界の歌にしか聞こえない歌。


自由を求める女の子の歌、身体も心も自由になりたい女の子の歌。


彩が好きで、聞いていた歌。


決して流行りの歌ではないが、好きだったのだ。


歌い終わると拍手してくれた。

(少し恥ずかしいけど、嬉しい)

照れながらもお礼を言う。
(今度はみんなで歌って楽しい歌にしよう)



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