待っていたの
自分がこんなに、強情だったと初めて知った。


何も守るものがない、だから出来る事なのかもしれない。


自分だけでいい、もし罰を受けるのでも、家族は後ろ指をさされない。

そう思った。


「シャワーを浴びて来ます」


自分の部屋に入るのは嫌だったが、栄達といるよりマシだ。


「灰かぶり姫だもんね、そのままじゃ」

後ろから聞こえる嫌みを聞かぬふりをして、部屋に入る。


明日は汚れてもいい服で、パンツで掃除に行こう。



シャワーを上から浴びながら

「お風呂入りたい…」

ポッリと呟いた言葉は、思ったよりも響いて聞こえた。





「ねぇ、白夜?ちゃんとその無駄にしてる顔、使えって忠告したよ?」

「…俺を見ようとしてなかった。早く終われと夢かもしれないと痛い、嫌だ、やめてをうわごとの様に繰り返しただけ」

「はぁ…。恋愛初心者めっ、目をつぶってたんでしょ?」

「ああ…目を開けたら、もう鮮やかな色がなかった。何も見てなかった」



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