待っていたの
「俺は…どうすればよかったんだ。結局…俺の妻になるしかないのに」

うなだれる白夜。
ひどく後悔している様子である。

「早いか遅いかの違いなのに、嫌がる姫の方がおかしいんだよ」

これはもう、王制かそうではないかの違いではなく、価値観の違いなのだ。


第一妃になることに、この世界の女性は憧れる。
絶対になれないが…。


だからこそ彩がどうこう言えば…嫌だと言えば言うだけ、苛立ちは募る。


王が欲しいと言えば、否はないこの世界で彩は異質。

それもプラスではなくマイナスに、特に女性にはマイナスの感情だ。


それだけ憧れる地位だ。
そして極めつけは、白夜の秀麗な顔に王としての力量だろう。


お姫様に憧れるものだ。


「ああ…無理矢理すべきではなかったかもしれない」


彩の泣きそうな顔も

飲み込んだ悲鳴も、嬌声も

絹糸のような髪の毛も

赤く染まる躯も

白雪の肌も

小さい手も

しなる躯も

意地っ張りな性格も

優しい性格も

全部が可愛い。



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