待っていたの
「待っていた…産まれた時から、大事にしようと思った……」

昔から、白夜のもとに伝承の姫が来ることは、神託として分かっていた事だ。


建物は和風な王宮だが、中身はわりと洋風な王宮。


「待ってたのに、その姫があれじゃあ…期待はずれだよ」

その美麗な顔を歪ませる栄達。


「だが…牢屋に目を付けるとは…意外だ。俺は好きにさせていいと思うが…?」

「そうだね…失敗しても何の痛手にもならない。だいたい何故牢屋に行こうと思ったのかわかんない」

「…知らん。疾と淑鵬はどうした?」

「ん〜…疾は常備庫番で、臥家の次男は、商売を学ばせるとの理由で、雀国に行った」

「そうか…臥家の次男は本気だったようだな、あのペンダントの裏の文字は、愛しき人……」

「それでなくとも、男が女にアクセサリーを渡すなんて、理由は独占欲くらいしか思いあたらないのに……おバカだよね」

鈍感にもほどがある。
子供っぽい姫、身体だけ大人なアンバランス。



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