待っていたの
身体を拭かれ、何十にも重ねられる着物。


サリーと呼ばれる、この世界の古くから伝わる衣装の裾は呆れるくらい長い。

下着も上にベアトップみたいなものだけでブラもしない。


すべて着物は青の濃淡で揃えられ、帯や小物だけは金と紫を使う。


耳かざりや腕輪、髪の毛なんかウイッグ使って凄い髪型になってる。


(日本じゃ高島田でいいのに、盛りともちがうし)


その髪に刺さる、アクアマリンやアイオライト、サファイア、パライバトルマリン。


帯にもアレキサンドライトやタンザナイトやブルートパーズが飾られる。


「おもい……おぇ」

かなり締められキツイ。
これで、金の輿のに乗って首都を回り、手を振るのが彩の仕事だ。


(無理でしょ…?)


最後に目元と口元に紅を引き、いざ出陣だ!


正直逃げ出したいけど…むかつくし暴言吐いて暴れたいけど。


我慢だ…、まだ帰り方がわからない。


それにこの国の現実がわかる滅多にない、機会だから。



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