待っていたの
彩の否定したい気持ち、信じたくない気持ち。



今まで全てだと思っていた価値観を捨てなければいけない。


そしてここは、廓…遊郭なんかじゃない、陛下と龍国の二つが表している。


「ここは、龍国首都ゼプスの王宮です、そしてあちらにいらっしゃいますのが、龍王…白夜様でございます」


「え…?王様が護衛なしで原っぱに居たらダメでしょう?」

ついつい口を出て言った言葉に、陛下は深い皺を刻み曹老人は大笑い、栄達は、もっと言ってやって下さい姫と煽る。


もっと重要な事を聞いた気がするが、聞かなかった事にしたい彩は、そんな事を口に出す。


「で、お前遊女にならないのは理解したか?」

「あ…はい」

理解はした。


「遊女とは、姫は……それはそれは売れっ子になれそうですよね?」

ニコニコと人畜無害の顔をして、恐ろしい事をいう陸栄達。

(なぜ、姫呼び……?)

夢である希望を捨てられないが、今の感覚は寝ている感覚とは違う、今の状況を認めなければならない。



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