待っていたの
「だからお前がいるんだ、お前がおかしいと思う所は言えばいい…」

「それも私の仕事ですか?」

「そうだ…」

「ですが…私は政治家…官吏ではありません。政治の事なんて知りません」

「そんなもの、月妃たちも知らない…」

数百年前なのだ、それなら彩の方が知っている、学校を卒業しているのだから。


「そうですね」

(仕事ならちゃんとしなきゃ。でも…余計な事は言わない様にしなきゃ、私の言葉で覆ることもある)


何万もの人の命が彩の発言に、かかっているのと一緒だからだ。


慎重に、それでも公平に吟味しなければならない。


(だいたい、奴隷いるの?)


「お尋ねしてもよろしいですか?」

「なんだ?」

「奴隷とは…本当にこの世界に存在するのですか?」

「ああ、1番色の薄い服を着ている奴らがそうだ」

俯き唇を噛む。
その瞳は怒りに燃えている、そんな錯覚を起こさせる。


俯いて瞳は見えないのだが、白夜にはそう見えた。

「そう…ですか」

言葉の冷静さとは、裏腹な燃えるような瞳。



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