待っていたの
彩がメイドさん執事さんと呼ぶ人達だ。


薄々感じていたが、口に出されると辛いものがある。


「それがどうした」

「…いいえ、身分は何の役に立つのかを考えていました」

「役に…?俺は王だだからお前と婚姻を結べた」

「そうですか…その程度ならいらない」

ふい…と窓の外を見て自嘲するように笑う。


「彩…覚えているか?」

昔……白夜が神託を受けた時の事を。

「一気に光に包まれた、目を開けると知らない世界が広がっていた」

驚いた顔で俺を見ている小さな女の子が居た。


「とりあえずお前と話しをしようと近付くがお前は逃げたな…」

「………え?」

記憶を探るがこんな美形なら、覚えているだろうと思うのだが。


「でも…一緒に歩いて帰ったな」

「あ…!」

(思い出した、何もわからないお兄ちゃんだ)


何もわからないから教えてくれって、言われて不思議と悪い人な気がしなくて歩いて帰ったのだ。



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