ボクノハヘン、キミノカケラ
「何食べたい?
コース料理にする?」


ええ・・・?
コースって超高いじゃん。


「パスタでいい。コレ。」


あたしはメニューを指差した。


「デザートは?」


さっきお店の前にあった見本、おいしそうだったな・・・。
アイスの乗ったアップルパイ。

うわ、上にかけるソースの種類選べるんだ。
メープルいいなぁ、あ、いちごもいい。


でも、なんだか今になって気が引けてきた。


「いいや。パスタだけでいい。」


「サラダとかは?」


「いらない・・・。」


相変わらず目の前の人は無表情だった。

あたしが黙ってれば彼はウェイターさんを呼ぶ。


「このサラダと、パスタを二つ。
あとはスペアリブと・・・アップルパイを一つ。」


最後の言葉を聞いてあたしは顔を上げた。
ウェイターさんが立ち去って、小声で正面の人間に呟く。


「アップルパイ、食べるの?」


「まさか。」


「・・・いらないって言ったのに。」


「食べたそうにしてたからさ。」


あながち悪い人じゃないのかも、そんなことを思った。
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