七狐幻想奇譚
神崎夏野
桃花は大きなため息をつく。蘭と約束までして、一体何をやっているんだろうと自分でも思う。結局学校へは行かずに、ぶらぶら歩いているのだから。これでもう何回目だろうかサボるのは。


学校は学校で苦痛だった。


静輝目当ての女の子たちに休み時間は当然のごとく奪われ、授業中は授業中で邪魔される。一体学校へ何をしに来てるのかわからない。




静輝静輝って――どうして弟ばかりなの。




ふつふつと沸いてくる怒り。その時ふと、さっきすれ違った少年が唐突に思い浮かぶ。


無愛想で、ちょっと近寄り難い雰囲気の。でもどうしてだろう。気になってしかたがないのは。


夏祭りが始まる前の、あの落ち着かないような気持ちになる。





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