七狐幻想奇譚
少年の表情は面で隠されていて、まったく読めない。



桃花は非現実なこの光景に少なからず、一種の恐怖を感じていた。



“怪奇現象”



この四文字が思い浮かび、脳裏に焼き付いて離れない。



「今年のお祭りは愉快だね。はやくおいで、ずっと……待っていたんだよ。あの日の……続きをしよう?」



桃花の視界はぐらりと揺らぎ、そのまま倒れた。遠ざかる意識の中途切れ途切れに、聞こえる歌と笛の音。






茜色の空の下どこまでも続くあかい鳥居を、手を繋ぎ仲良く駆けていく子供。








とても綺麗な歌が耳から離れない……。






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