七狐幻想奇譚
祭り前日
あかあかと続く鳥居。



茜色の空の下、儚く響き渡る綺麗な歌と笛の音。



幻想的な世界が、どこまでも果てしなく続いている。



夢現少女が彷徨っていると――誰かの声がしたような気がした。自分を呼ぶ声など、あるはずもないのに。



それでも自分を呼び続ける声。

いつも耳にする聞き慣れた声。



“……桃花”



はっきりと名前が聞こえた瞬間、視界が徐々にクリアになってゆく。



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