七狐幻想奇譚
「朱花(しゅか)にあげる」

「わあ、嬉しい。ありがとう茜」


眩しい夏の陽を遮るように、大きな木が傘となっている下で、少年が白い花を差し出す。



それを笑顔で受け取る少女。少年の顔が、ぱっと明るくなる。





夏の神社。



満開の白椿。



――紺碧の髪。



少年を遠くの方で見つけると、茜から少女は離れていく。


駆けていく少女は、少年の胸に思いっきり飛び込む。



「夏燈(なつひ)おかえりなさい……!」

「ただいま」



花のように笑う少女を、そして少年もまた、愛おしそうに抱きしめる。





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