七狐幻想奇譚
夕方、桃花は目を覚ます。頬に手を当てれば、濡れている事に気づく。



朧気だが、微かに覚えてる夢。


最近、何かがおかしい。




物思いに沈んでいると、外から賑かな声が民謡と共に聞こえてくる。部屋の壁掛け時計は、6時をさしている。


――お祭りの時間だ。



「……いかなきゃ」



初めてできた友達の言った言葉だからっていうのもあるが、それ以外の何かがないとも言えない。



気分も足取りも重いが、ふらふらと外に出る。



狐火神社に行くために。



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