ブルービースト
「……ちゃんと食べ物を飲み込んでから話しましょうね」
普通に流したリシアのかわりに、最年少な筈のシエラがぼそりと言った。
もう完璧に傍観者となったユノはやっぱり彼女だけはまともだと感心する。
……レイツにベタベタくっついているのは無視することにしたらしい。
「じゃあ~、あたし早速行って来ますねぇ。皆さん御達者で~」
リシアはそう言うとヒラヒラと手を振り、ソファーの影からどでかい派手なカバンを出した。
…ちゃっかり出掛ける用意はすませていたらしい。
「しっかり話しておいで」
フロアリビングから去ろうとするその後ろ姿を見送りながら、ブロードはスルメを飲み込んで言った。
リシアは振り返るとにっこり笑いながら頷く。
そして、そのままブロード達の前から姿を消した。
パタン、と虚しくドアが閉まる。