ブルービースト
「これが終わったらレイツと話しないとね」
「きゅんきゅん」
「え?ボクはまだ反対だって?
…仕方ないんだよ、ポチ」
「くぅん…」
悲しげに鳴くポチにふっと笑い、ブロードは飼い犬の頭を撫でた。
それから顎を掻いてやり、優しく諭すように話しかける。
「ごめんな、ポチ。
…さ、今はそれよりこっちだ。バナナくらいなら食べれる…かな」
「…わん」
「知るかって。冷たいなぁ、怒るなって…、ぅおっと」
何故に犬語がわかるのかは未だに不明だが、ポチと話しながら歩いていたブロードは危うく壁にぶつかりかけた。
そんなに犬との会話に集中してたのか。
ポチは心配そうにブロードを見上げる。
「ふぅ…っ、危ない危ない。ちゃんと前向いて歩かないと」
「くぅん?」
「…大丈夫、ぶつかりかけただけだから。気をつけないとなぁ…」
厄介だとも言いたげに頭を掻き、右目を擦ってからブロードはまた歩いた。
その行き先は彼とその親友のポチしか知らない。
晴天の空の下、ブロードとポチはどこかに向かい消えていった――…