ブルービースト
クリスはあまり自分から話さない。
いつも誰かの傍でふんわりほんわかしているだけ。
わかったのは、ブロードを尊敬しているらしいということだけだ。
そしてユノにとって一番謎なのがそのブロード。
尊敬されている理由もユノから見た彼ではわからないし、彼は何だか色々怪しい。
まず第一に、
「…ブロードさんは何で軍の中央司令部で犬を飼っているんですか?」
…それが不思議すぎる。
ユノは正直犬が怖い。
だからたまにブロードが自室から執務室にポチ(犬の名前)を連れ出してきたときなどに、かなり迷惑を被っているのだ。
「そういえばブロードがユノちゃんはポチを怖がるって言ってたなぁ」
「…犬が苦手なんです」
あいついらないこと言いやがった。
その頃自室でポチと戯れていたブロードはまた寒気を感じたとか。
レイツは何だか難しい表情をしてみせると、ユノにこう言った。
「…何で、ねぇ。寂しいんじゃない?」
「…はい?」
思わず声が裏返ってしまい、ユノは慌てて口を押さえた。
しかしレイツは気にすることなくまた話す。
「あいつ動物好きだし一人が嫌いだし、犬がちょうどいいんじゃね?」
「…何歳児ですかあの人」
「時と場合によると思う」
…何だその答え。
ユノはレイツにとっても冷めた視線を送った。