ブルービースト
「わかったろ?もう僕の体は使いものにならないんだよ」
敵に囲まれたにも関わらず、ハイリアは穏やかな声色でそう告げる。
そして、振り返るとリシアに笑顔を向けた。
「リシア、愛してるよ。僕の…お姫様。本当にそうするつもりだったけど、…無理だから。最期くらいかっこよく散らせて」
「や、やだっ何言って…リアっ治療しなきゃ…っ」
涙目で震えながら言うリシアに最後にもう一度笑みを向け、ハイリアは走り出した。
敵は容赦なく発砲し剣を振る。
見ていられなくなって、けれど最後まで恋人の姿を焼き付けたくて、リシアは呆然としたまま瞬きもせずそれを見ていた。
──…愛しの彼が、力尽きて倒れるまで。
「……おい、女」
ハイリアが地に伏せ動かなくなってから、敵の残った数少ない一人が口を開いた。
リシアは顔を上げることなく彼氏を見つめる。
「さっき、こいつはお姫様とか言ったな。王族が軍に紛れ込んでいると聞いたが…まさかお前か?」
男は気にせずリシアに歩み寄り訊ねる。
黙って何の反応もせず、リシアは殺されるのを待っていた。
「リア…」
ぽつりと呟いて目を閉じる。
ブン、と剣が空をきる音が耳に響いた。
敵に囲まれたにも関わらず、ハイリアは穏やかな声色でそう告げる。
そして、振り返るとリシアに笑顔を向けた。
「リシア、愛してるよ。僕の…お姫様。本当にそうするつもりだったけど、…無理だから。最期くらいかっこよく散らせて」
「や、やだっ何言って…リアっ治療しなきゃ…っ」
涙目で震えながら言うリシアに最後にもう一度笑みを向け、ハイリアは走り出した。
敵は容赦なく発砲し剣を振る。
見ていられなくなって、けれど最後まで恋人の姿を焼き付けたくて、リシアは呆然としたまま瞬きもせずそれを見ていた。
──…愛しの彼が、力尽きて倒れるまで。
「……おい、女」
ハイリアが地に伏せ動かなくなってから、敵の残った数少ない一人が口を開いた。
リシアは顔を上げることなく彼氏を見つめる。
「さっき、こいつはお姫様とか言ったな。王族が軍に紛れ込んでいると聞いたが…まさかお前か?」
男は気にせずリシアに歩み寄り訊ねる。
黙って何の反応もせず、リシアは殺されるのを待っていた。
「リア…」
ぽつりと呟いて目を閉じる。
ブン、と剣が空をきる音が耳に響いた。