ブルービースト
「うーん、二刀流ってはじめてだけど意外としっくりくるね」
死を覚悟し痛みを待っていたリシア。
しかしそれらは来ず、変わりになんとも緊張感のない暢気な声が聞こえた。
「え…?」
恐る恐る目を開く。
そして、声がした上を見上げた。
その瞬間目に入ったものにリシアは驚く。
──…鮮烈なまでの、蒼。
「たい、ちょ…」
「アサギさん、最後の敵をぶった斬りました」
唖然とするリシアを無視し、隊長──ブロードは無線に話しかける。
無線から歓喜の叫びが聞こえ、わかったと答える男の声のバッグに「勝利!」というコールが響いた。
「味方の遺体を収容します」
『あぁ。怪我人は医療テントな』
「もうほとんど移動してますよ」
『一応、だ。お前は怪我は?』
「ナッシーング」
『はは、さすがだな』
ふざけた物言いのブロードに笑うアサギ。
こんな戦場でよくもそんな会話が出来るものだ。
ブロードは無線を切ると、倒れた親友に近寄り彼を見下ろした。