ブルービースト
「ハイリアは…どうして王家の墓に入れなかったんですか?」


ごく自然に、ブロードは話を逸らした。


目の前のお墓を見つめ、非難するでもなく訊ねる。



「……あぁ…、嫌がると思ってね。あいつは私を嫌っていたから」


「……………………。」


「私が何も言わなかったのが悪かった。跡取りばかり見ていて…兄弟は皆バラバラになる始末だ。情けないよ」


「……ハイリアは第三王子、でしたっけ」


「ああ、そうだよ」



懐かしそうに表情を緩めた国王。


ポチはまたその膝の上に乗った。


今度は国王の手を慰めるように舐める。


国王はくすぐったそうにクスクス笑った。



「ポチは優しいね」


「あはは、僕の自慢の親友です」


「親友、か。ハイリアもそうだったのかな?」


「もちろん。今でも…親友で悪友ですよ」



悪戯っぽくウインクしたブロードに、国王は満足そうに頷いた。


それから隣の青年を見上げると、慈悲を含んだ笑みを見せ口を開く。




「…もう大丈夫みたいだね」


「……………………。」


「君の方は体調はどうなんだい?」






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