ブルービースト
「………ブロードさん」


ブロードと老人の姿を認めたユノが、驚いたような顔をして呟いた。


リシアは少し気まずそうにした後、ブロードの手前にいる人物に目を向け首を傾げる。



「…どなたですかぁ?」


「王様だよ」


「へぇ、王様…。ええぇ王様ッ!?」



うっそー!?と叫んでから、リシアは慌てて敬礼した。


ユノもポカンとして老人を見つめ、しばらくして自分も敬礼のポーズをとる。



「そんなに緊張しなくともいいのに」


「いえっ、そんなっ!!」


「あはは、リシア声上擦ってるよ」



ケラケラ笑うブロードに隊員二人は唖然とする。



なんだコイツ、なんで王様の前でこんな態度なんだ。




「おや、また人が来たね」


「え?あ…」



ユノとリシアの後ろに長身の人影。


その男は女二人を追い抜き国王の傍につくと、車椅子に座る彼を見下ろし苦笑した。



「なるほど。遅いと思ったら…ブロードと一緒でしたか」


「あぁ、待たせてしまったかい?キィル」


「まぁ待ったのは確かですが…苦ではありませんよ」



そう穏やかに答えた男──キィルは、老人の向こう側にいるブロードに視線を移した。


その複雑そうな表情にフッと笑い、口を開く。




「お前もいたんだな、ブロード」





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