ブルービースト
「違うと、思う」


俯いていたリシアはハッと顔を上げる。


ユノは少女を真っ直ぐ見つめ、それから優しく微笑んだ。



「…怒ってたら、部隊には入れてくれないと思うから」



その言葉にリシアは醒目した。


それからくしゃりと顔を歪め、半泣きでユノにすがり付く。



「うわぁあんっ、ユノさぁんっ!」


「え、ちょっ!そんなにあれに嫌われたくないの!?」


「嫌ですぅ!ブロードさんはわかってくれないけどっ…本気で好きなんですぅっ!!」



かなりどでかい声で恥ずかしいことを口走ったリシア。


ユノは引っ付いてくる女を必死に引き剥がしながらも、何故か自分が赤くなった。



「んな、そんなでかい声で…!ていうか、ハイリアさんは…?」


「ハイリア大好きぃっ!でもブロードさんも好きなの!やだぁあたしどうしよぉお~っ」



あれだけくっつきながらもずっと悩んでいたのか、咳を切ったかのようにリシアは喚き出した。


抱き着かれ泣かれ宥めるユノは、恋愛経験など皆無なので何も言えない。



だがとりあえず墓地でこれは自分が嫌だと思った。





< 148 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop