ブルービースト
そんな彼女が落ち着いてきたことを確認すると、ユノは内心ホッとしながら声をかけた。
「……帰ろっか、リシアちゃん。ハイリアさんの墓参りは今度でいいよ」
その状態じゃ無理でしょ、と涙でぐちゃぐちゃになった可愛らしい顔を指差す。
リシアははい、と申し訳なさそうに、涙声で答えた。
もちろんこんな顔第一の皆に見せられない、と帰りに公園のトイレに寄ってきちんとメイクし直す。
ユノはその執念に感服すらしてしまった。
「ごめんなさい、ユノさん」
「ううん。すっきりした?」
「はい。ありがとうございます」
そう礼を言った少女の笑顔を見て、今度こそユノは心から安心した。
普段馬鹿でうるさいにしろ、やはり笑顔の方が彼女には似合う。
「よしっ、気合い入れ直しますねっ!」
「…うん、ほどほどにね」
元気よく言った第一仲間に、ユノは苦笑しながらそう返した。
リシアとの絆が生まれた、そんな夕暮れの一時。
しかしその日から、ユノの中にどこがすっきりしない、モヤモヤした気持ちが生まれてしまったのだった。