ブルービースト
リシアの元カレ──ハイリアの命日から、もう二週間。
ブロードはあの日から、毎日毎日どこかに出掛けては仕事をサボっている。
行き先も誰にも言わない。
知るのは彼と愛犬ポチのみ。
帰ってくるなり夕飯を食べて即寝るので、仕事をした時間はほんの一握りしかない。
その分それはユノに回ってくるわけで、彼女は毎日それはもう大量の書類に追われていた。
「レイツさん、ブロードさん知りませんか」
シャワーをし終えて朝食をリシアとシエラと食べたユノ。
彼女はフロアリビングのソファーに座る副隊長に、不機嫌オーラを醸し出しながら訊ねた。
案の定ビビったレイツは真っ青になりながら口をパクパク動かす。
「あ…し、知らねぇ」
「そうですか、ありがとうございました」
棒読みのそれに更にレイツはビビった。
怖い。恐ろしい。
ユノの背中を見送りながら、彼はソファーの上で丸まった。
それを発見したクリスに不審がられて、それどころではなかった大の男は後輩に泣きついたとか。