ブルービースト
「…また、来ちゃいました」
おかしく言ったつもりなのに、笑えない。
女性に歩み寄ったブロードは、その力の全く入っていない手をさらりと撫でた。
「……早く、起きてください」
ゆっくりと床に膝をつく。
白い手は握ったまま、ブロードは力なくベッドにこつんと額を宛てた。
「……じゃないと俺…、」
冷たい色の床を見ながら、呟く。
しかしそこで言葉は止まり、彼は立ち上がると鞄の中からそっと花を出した。
「これ、飾っときます」
へらりと目を覚まさない人に笑みを向ける。
「きっとまた来ますから」
そう目を細めて言ったブロードは、女性の手を一度きつく握ってから部屋を出た。
俯きがちなことに気付き、はあ、と溜め息をついて、らしくないと苦笑いする。
と、そこで、待合室から出てきたある男性に鉢合わせ──…というかもろぶつかった。
「ぎゃっ」
「うわっすまん!」
にゅっと伸びてきた手はブロードの腕をギュッと掴み、転倒を引き留める。
あれっ超デジャヴってか俺がユノにしたことじゃん、とか思っていると、わざわざブロードの体勢を整わせてくれた男性が口を開いた。
「お前、ブロード!」
「へ?…げ、アサギさん!」
おかしく言ったつもりなのに、笑えない。
女性に歩み寄ったブロードは、その力の全く入っていない手をさらりと撫でた。
「……早く、起きてください」
ゆっくりと床に膝をつく。
白い手は握ったまま、ブロードは力なくベッドにこつんと額を宛てた。
「……じゃないと俺…、」
冷たい色の床を見ながら、呟く。
しかしそこで言葉は止まり、彼は立ち上がると鞄の中からそっと花を出した。
「これ、飾っときます」
へらりと目を覚まさない人に笑みを向ける。
「きっとまた来ますから」
そう目を細めて言ったブロードは、女性の手を一度きつく握ってから部屋を出た。
俯きがちなことに気付き、はあ、と溜め息をついて、らしくないと苦笑いする。
と、そこで、待合室から出てきたある男性に鉢合わせ──…というかもろぶつかった。
「ぎゃっ」
「うわっすまん!」
にゅっと伸びてきた手はブロードの腕をギュッと掴み、転倒を引き留める。
あれっ超デジャヴってか俺がユノにしたことじゃん、とか思っていると、わざわざブロードの体勢を整わせてくれた男性が口を開いた。
「お前、ブロード!」
「へ?…げ、アサギさん!」