ブルービースト
「わわっ、ごめんごめんごめんビックリしたからつい!」


「なんでビックリ?そんなに私がお礼言ったらおかしいですか!」


「そ、そんなワケじゃ…」


「目が泳いでますけど」



更に紫の視線が鋭くなって、発砲されたらどうしようと上司なのにブロードは慌てた。


そんな情けない姿を見て、毒気を抜かれたのかユノは肩を落とす。



「せっかく人がお礼言ったっていうのに、アンタって人は…」


「ごめん、まじでゴメンナサイ。でも…」



何か言いたそうな言葉に、ユノは顔を上げて隣の彼を見上げた。


言い訳でも始めるのかと思ったのだが、違うらしい。


彼も自分を真っ直ぐ見ていて、驚いたユノは目を見開いて立ち止まった。





「……よかったね、ユノ」




柔らかい声色、優しい言葉。


細められた蒼い瞳は夕焼けに染まり、不思議な色をしていた。


緩く弧を描いた口元。



──…綺麗な、微笑。



それがなんだか儚く、消えてしまいそうに見えて、ユノは気付けば目の前の彼の腕を掴んでしまっていた。






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