ブルービースト
「…どうして、あの状態の彼をどうにかしようとしないんですか」
発せられたのは彼女が前々から言っていたのと同じ言葉。
しかし、久しぶりに言われたそれには何故か以前と違って重みがあった。
「…どうしてって…触れてほしくないみたいだしよ」
「ブロードさんに、助けて貰ったんでしょう?」
一言一言に、力を込めて言う。
そんな様子の話題の上司の補佐に、レイツは自分も眉を潜め探るように彼女の紫を見つめた。
(……なんだ?)
ただの興味であの中将の行動を探っているのだと思っていた。
いや、最初はきっとそうだったのだろう。
それが、この目。
彼を探る度にキラキラ輝いていた瞳が、今度は少し翳っている。
(………まさか…)
「……ユノちゃん」
「…はい」
「ブロードと、何かあったのか?」
真顔で訊ねたレイツに、ユノは少し怯んだ。
やっぱり、と呟いたレイツは逆にその銃を握る手を掴む。