ブルービースト
母に捨てられた、と荒んでいた自分。
これしかないからと握った銃。
真相を知った今は、こうして軍にいる理由もユノにはもうない。
軍をやめて普通に働く道だってあるのに、彼女がそうしないのは。
「柄じゃなし本人には言えないけど…。恩返し、したいんです」
「…………………。」
「あんなの良くないです。だって辛そうじゃないですか」
静かに目を伏せるユノ。
長い睫毛がその頬に影を落とすのを見て、レイツは度肝を抜かれた。
(なにこれなにこれ…!?)
しおらしい。
あの、ユノが。
しかもなんか綺麗になった気がする。
これはどういうことだ。
「俗に言うツンデレか…?」
「はい?」
「い、いや何でもない」
慌てて首を左右に振るレイツ。
そうしていると、不意に住居区に繋がる扉が開いた。
バッと二人が振り向けば、そこにいたのは話題の彼。
「あれ?ユノとレイツ…、!」
しまった聞かれてたらどうしよう。
二人は心の中でシンクロして焦った。
一方何を思ったのか、ブロードは急に黙り込む。
そして、ビックリする副隊長と補佐に彼はゆっくり歩み寄った。