ブルービースト
「どうしたの、銃なんか握って」
中将はにこにこしながらそう言うと、バシリと二人の繋がれた手を叩いた。
ポロリとユノの手から落ちる銃、呆気にとられるレイツ。
「あ、赤くなっちゃった。ごめん」
「え、ああああのブロードさん?」
さっとユノの手をとったブロード。
彼はそれを丹念に調べだした。
叩かれた手以上に真っ赤になって上司を見つめるユノに、レイツはポカンとする。
(う、嘘だろ…)
──…まさに恋する乙女。
そういえばシエラが女は恋をすると綺麗になる、とか言っていた気がする。
だからか。
だからなのか。
彼女が柔らかくなったのも、綺麗になったのも全部。
「お前か…罪な男め、ブロードのくせに」
「? あ、レイツいたの」
「いやいやさっき俺の手も思いきり叩いたろ!」
まるで今気付いたとでもいう風なブロード。
(何なんだこの俺の扱い!)
レイツは目頭が熱くなった気がしましたとさ。
「てか前も思ったけどユノの手って細いな」
「そ、そうですか?」
「うん。女の子って感じ」
「!」
「手だけだけど」