ブルービースト
「…………………。」
「…………………。」
フロアリビングに残される男二人。
レイツは衝撃的な事実に身震いしてから、ちらりとブロードを見てみた。
「、」
が、すぐに後悔する。
閉まった(少々歪んでいる)扉を見る、ブロードも。
目を見開いて、微かに頬を染めている…気がする。
うっそだあ、と薄ら笑いを浮かべたレイツは、それとは異なる震える声で友に声をかけた。
「ぶ、ブロード?」
「………、あ、なに」
「い、いや…」
「………そう」
微妙な反応をした彼は、目を伏せると少し眉を潜めた。
何だ何だとレイツがビビれば、先程殴られた頭をいたわるように撫でる。
「俺、いつか殺されるかもしれない」
「……御愁傷様です」
「ニュースになったら言っといてね、『ブロード君はいい子でした』って」
「お、おう…」
そんなふざけたことを言ってへらりと笑った上司は、自分も準備をはじめようと立ち上がり扉の向こうへ消えた。
一人になったレイツはソファーにぐったりすると、目元を手で覆う。
「マジかよー…」
あの、堅物ユノが。
まさかちゃらんぽらんブロードに惹かれるとは。
本人が気付いているのかどうかはわからないが、これからの部隊がどうなるのかレイツは本気で心配した。
もちろん、
「照れて乱射されて死んだらどうしよう」
…そういう方向の、心配だが。