ブルービースト

-Ⅱ-



「最悪だわ」



──…お初の顔合わせ。


だが彼女は遠慮なくそう溢した。




「どうしてアンタと一緒なワケ?」


「酷いなぁ。俺は嬉しいのに」



へらへらしながら特に傷付いた様子がない第一部隊隊長ブロード。


そう、今日は特殊部隊遠征初日。


数ある部隊から引き抜かれた精鋭たちが、遠い地へと自身の足で向かう日だ。

その間に通った場所をパトロールし、敵が潜んでいれば問答無用でたたっ斬る。


そんなデンジャラスな遠征だからこそ、彼女は嫌だった。


機嫌が悪い第二部隊隊長さまは、彼に溜め息をつく。



「…それで、この娘はなに?」


「俺の有能な補佐ちゃん」



彼女──セリナが指差したのは、ブロードの隣で自分たちを見るユノ。


自分の話題になったことにユノは一瞬目を見開いたが、すぐに立ち直りセリナに頭を下げた。



(綺麗なヒト…)



顔を上げたユノは思わず彼女を見つめる。



長いウェーブのかかった亜麻色の髪、つり目な澄んだ瞳。


キツい印象を与える顔立ちだが、上品さも備わっていてかなりの美人だ。



ユノの視線に気付いたのか、セリナは苦笑すると「ブロードのお守りなんて大変ね」と声をかけてくれる。






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