ブルービースト
「大丈夫?ユノ」
「は、はい。…ありがとうございました」
歩きながらも振り向き心配そうにユノの顔を覗き込んだブロードに、ユノは動揺しながらも礼を返した。
よかった、そう溢したブロードは草木をかき分け前を進む。
それを追いかけるレイツが苦い顔をした。
「アイツら、馬が合わないと思ったんだよなぁ~…」
「んー、そだね。通りかかってよかったや」
「…あの後殴り返すつもりだったんですけどね」
「おお…!?まじで止めてよかったぜ」
そんなことしたら余計怒るだろ、そう言われユノはちょっと反省した。
ああいうタイプはあまり挑発しない方がいいかもしれない。
所詮は男と女、どちらが不利かなんてはじめからわかっている。
「ユノさ、いくら男勝りで勇ましいからってこんな夜に一人で歩いたら駄目だよ」
「男勝りでって何ですか」
「だって事実…、いたっ!痛い痛い痛い、木の枝投げないで刺さる!」
注意したつもりが墓穴を掘ってしまったブロードは、ユノから制裁をくらう羽目になった。
前から何となくそんな気はしていたが、…何ともデリカシーがない。
しかも物凄い速さで後ろから襲いかかる木の枝を避けていたら、不安定な足元のせいかつまずいてコケかける始末。