ブルービースト
「私、もう寝ますね」
「あ、あぁ、うん」
「寝てる間に近付いたら撃ち殺しますから」
「は、はい」
前半はブロードに、後半はクライドに。
しっかり忠告したユノはすっぽり寝袋に収まる。
呆気にとられる三人を残し、しばらくして彼女はすぅすぅと寝息をたてはじめた。
それを見たブロードはレイツと顔を見合わせると、真顔で口を開く。
「ユノが優しくなった」
「……ああ、まあな」
「どうしたんだろう。ユノこそどこか悪いんじゃ…?大丈夫かな」
「…大丈夫だと思うぜ」
この鈍感めが!と怒鳴り付けたくなるのを何とか抑え、変わりにブロードを寝袋に押し付けレイツは言った。
ぶふっ、と情けない声を出して中将はそこに突っ込む。
「お前も寝ろ。疲れてんだろ、嫌に短気だ」
「…え、嘘。短気?」
「…自覚なしかよ。今日の見張りは俺だからな!お前も安心だろ」
「……うん、そうかもしれない。うわぁやだな、俺笑顔一番がモットーなのに短気だなんて」
ごろんと転がったブロードは、いそいそと寝袋に潜り込み目を閉じた。
彼がすぐ眠りについたのを確認すると、レイツは今度はクライドを振り返る。