ブルービースト
「鬼…仲間外れだ…人権侵害だ」
心のヒットポイントが0になったブロードは、ふらふらと呟きながら炭田の壁にぶつかる。
部下の大袈裟なリアクションにまたも高笑いし、アサギはそれでいいと満足げに頷いた。
「お留守よろしくなー、ブロードくん!」
「うう…レイツめ呪ってやる」
「こわっ!怖い怖い髪直せ!」
ゆらりと顔を上げた中将に少将は焦る。
ブロードは長い髪を顔にかけ、見事にホラーな感じを演出した。
そんな戯れを呆れたように見るのは黒髪をいじるクライド。
「そんなだからまだ出して貰えないんだ」
「アンタちょっとは黙りなさい」
馬鹿にする第二部隊副隊長に隊長は注意した。
副隊長はちぇっと口を尖らせると、逃げるように愛しの彼女のもとへ向か
「ブロードさん」
………彼女にも逃げられた。
「ん、なにユノ」
髪をだらしなく垂らしたままのブロードは、ユノの方を振り向き顔を上げる。
しかし「そのうざい髪切り刻んで差し上げましょうか」と言われ、慌ててくくり直した。
それを見たユノは取り出した短剣をしまいこみ、代わりに小さく微笑む。