ブルービースト
(ハイリア…)
何度も立ち向かって、何発も撃たれて。
彼女を守るために散った親友。
彼はいつだって落ち込む自分を慰めてくれて、冷たく接しても根気よく話しかけてくれた。
あの時も、あの時も。
一緒に悲しんで、一緒に泣いて──…
(…………あ)
やばい。
は、と気付けば、もう外では銃撃や剣がぶつかる金属音が鳴り響いていた。
どうやらいつの間にか、かなりの時間が経ったらしい。
戦場特有の音が余計に、思い出しかけたそれをかり立てた。
「………、」
キョロキョロと周りを見渡す。
けれどやっぱり何もなくて。
「…………っ」
ポチはいない。
わかってる。
けれどこんな時は、いつもあの小さな親友が頼りだった。
仕方なく足の間に顔を埋め、やり過ごそうと深呼吸する。
──…その時だった。
ザッ、と足音。
驚いて顔を上げると、すぐ目の前に刀を振り上げる誰か。
「えっ──…」
対応が遅れた蒼色に、それは襲いかかって──…