ブルービースト
「どういうことですか?ブロードさんは…」
「もうそんなこと言ってられねぇ。アイツ一人いるのといないのとで大分違うんだ、行くから着いてきてくれ」
「…はい」
この戦場で単独であの場所に戻るのは危険すぎる。
故にアサギは遠くの敵にも対応出来るユノをお供に選んだ。
早速レイツにその旨を伝え、ユノと進行方向とは逆に駆け出す。
「いいか、こっちを狙う奴がいたら…」
「わかってます」
言いながら発砲するユノ。
弾は敵の急所を外れ、しかし相手を気絶させるに至った。
きちんと狙ってそうしているユノに、アサギは感心する。
(直ったんだな)
まだユノが第一部隊に入ったばかりの頃、ブロードは彼女を怖いと言っていた。
…人を、平気で殺すから。
しかしそう言われていた彼女は今、敢えてそうしなくなっている。
これもあの蒼い部下のおかげかと、アサギは刀を振りながら少し口角を上げた。
『第一部隊は“笑顔一番”がモットーですから』
そう言って笑ったブロードを思い出す。
彼のように、ユノも今は微笑むことが増えた。