ブルービースト
「……え…?」
11。11歳。
普通ならば家族と食卓を囲み、まだ親に甘えているような年頃。
そんな幼さで、軍に入ったというのか。
クライドは唖然とし、ポカンと口を開け大将を見上げた。
「…信じられねぇだろ。そんで子供ってのは成長能力が大人とは比にならないからな」
すっと目を細め、アサギは言葉を続ける。
「…幼い頃から戦場に出てたアイツは、まあお前の知る通り並外れた戦闘センスと強さを得たワケだ」
俺には劣るがな、と笑う大将。
クライドは複雑な面持ちで話題の上司を見やった。
ついに副隊長に捕まった彼は、宣言通りタコ殴りにされている真っ最中だ(ユノも混じっていてちょっと羨ましい)。
「別に特別強く生まれたワケでもないと思うがな。経験が才能を生んだんだ」
「……あの馬鹿にも色々あったってことですか」
「まァそうだな」
苦笑して頬を掻くアサギは、誰にも言うなよと念を押した。
頷いたクライドは、楽しそうな三人を見ながらひとつ気になったことを訊ねてみる。