ブルービースト
-Ⅰ-
「ブロードさああぁ~んん…」
お昼時、ルビアニス軍中央司令部第一部隊フロア。
わりと広めな空間に置かれた質素だか柔らかいソファーに身を沈め、少女は呻くような声をあげた。
もうずっと会ってない!
一ヶ月も会ってないわ、信じられない!
…と嘆く彼女だが、実際そんなに長いこと彼は不在ではない。
「…あの人なら今日帰ってくるし、その前に仕事したらどうですか」
うるさいリシアにポチを膝の上にのせたクリスは小さく呟いた。
すると勢いよく顔を上げ、キッと睨み付けてくる色気女。
「恋煩いで仕事も手につかないわッ!」
「……………………。」
仕事しないのはいつもじゃないか。
そうは思ったが口には出さない。
クリスはもうめんどくさいとばかりにリシアの存在を頭から抹消し、代わりにちゃんと仕事を終わらせ大人しくソファーに座っている銀色をその目に映した。
「お兄ちゃんまだかなあ…」
「……………………。」
…こちらも煩っているらしい。
ポチまでそわそわしているし、と少年は溜め息をついた。
結局、第一のメンバーが揃っていないと落ち着かない。
まあそれは自分も同じなのであろうが。