ブルービースト
-Ⅱ-
「全く、信じらんない!」
ゴシゴシゴシゴシ。
手荒い手つきで体を洗いながら、ユノはふんと鼻から息を吐き出した。
ほくほくと上がる湯気が、目の前にある鏡を曇らす。
時間が経って夜になった今も、ユノは怒っていた。
何せあのクソ上司のせいで、自分まで元帥の怒りを被ってしまったのだ。
二人して正座して二時間、それはもう遠征明けの疲れた体には地獄のようだった。
「大変だったわねぇ~、元帥様怖かったんでしょー?」
「怖いなんてもんじゃないわ」
思い出して身震いしながら、ユノはそれを消し去るかのように一気に水を被る。
流れた泡と一緒に、出来ればあの記憶も消えていただきたいのだが。
「ユノさんが怖がるなんて、相当なんでしょうね」
「あのクソ上司が元帥様にビビってた意味がわかったわ」
湯船に浸かったシエラに返事を返す。
第一部隊の女子メンバー三人は、仲良く一緒に入浴していた。
ユノは立ち上がり他の二人同様に湯船に浸かると、ふうと息を吐き出す。