ブルービースト
「でもねぇ。私明日の朝には帰らなくてはいけないの。孫達と一緒にいたいのだけれど」
「ブロードさんとクリス君には血縁はないと伺ってますが」
ああもうしつこい。
いきなり来てかなり困らせてくれるこの人が限りなく鬱陶しい。
人の祖母にそんなこと思うのは失礼だが、邪魔なものは邪魔だ。
「あら、クリスだって私と血縁なんかありません。けれど私の孫よ」
「え?」
イライラしていたユノだったが、このミノリの返答にはさすがに固まった。
その時、ふとミノリの膝の上のブロードが身動ぎする。
ミノリは慌てて彼が落ちないよう体勢を直した。
「ほら、貴女がうるさいから!」
「ちょ、大声あげないで下さい!本当に起きますよ!」
「…二人ともだと思うが」
わたわたと二人で焦っていると、女性しか起きていない筈のその場に低い声がした。
今日嫌と言うほど聞いたばかりのその声に、ユノは反射的に振り返る。
するとやはりというか何と言うか。
「キィル!」
ミノリに名を呼ばれた元帥。
いきなり現れた彼はブロードの状態を見て、呆れたような顔をした。