ブルービースト
「やっぱり。ミノリさん、その娘を困らせるのはやめて下さい」
元帥に指差され、ユノは思わず竦み上がる。
超絶に怖かった彼を思い出し、少しドキッとしてしまった。
しかしこれは思わぬ助っ人登場だ。
「でもキィル…」
「でもじゃありません。彼女もブロードも疲れているんです。貴女の都合で振り回してやらないでくれますか」
「私、明日には帰らなくてはいけないのよ」
「客室は二階ですが」
ザックリとぶった切り口調で言うキィルに、ミノリもついに諦めた。
わかりましたよ、とぼやくと、蒼い頭を撫でて部屋に連れていかれた孫の部屋の方を見る。
「ブロードは私が運ぶ。ユノ、君はもう休みなさい」
「え、あ…はい。ありがとうございます」
強すぎる。
元帥万歳、ミノリの宿泊を許可したのは彼なのに、そんなことは忘れてユノはキィルにこれまでにない程感謝した。
部屋を去る前にちらりとブロードを振り返り、頭を下げると部屋に帰る。
結果、フロアリビングに残されたのはキィルとミノリ、ブロードの三人だけとなった。