ブルービースト
「全くお前は、少しは落ち着かんか」
「う、ご、ごめんなさい」
そう言ってしゅんとするその姿は、昔から変わらない。
昔、と言ったって、キィルが彼と出会ったのはそこまで昔ではないし、頻繁に会うようになったのもここ数年の話なのだが。
やっぱり若いからか好奇心旺盛な息子は、キョロキョロしながら後ろをついてくる。
ストッパー役の筈のレイツも、物珍しそうに彼と一緒になって屋敷見物をしていた。
…まあ、彼らはまだ17歳と18歳。
仕方ないか、と諦めて、キィルは依頼主がいる広間へ足を進めた。
「あ!レイツ、レイツ!見てアレ超かっけー!」
「おおおおお!?すっげ何だアレ高そォオー!」
「…貴様ら、黙らんか」
…やっぱり、仕方なくない。
キィルの低い声に心底ビビるブロードとレイツを目の前に、軍人達は軍のこれからの行く先に不安を感じずにはいられなかった。
…こんな奴等が、自分の上司なのか。