ブルービースト
「はっ、来たっ!」
張り付いてトカゲと化していたユノは、自分の部屋の前を横切った蒼い影を確認すると早速行動に出た。
少し間を空けてから、出来るだけ音をたてないようにしながら扉を開く。
キョロキョロ廊下を見渡し誰もいないことを確認すると、そろそろと外に出てきっちり部屋の鍵を閉めた。
そのまま忍び足で大分先に見える背中を追いかける。
相手の歩調に合わせて、ばれないように慎重に。
一歩、二歩、三歩、四歩……、
影が角を曲がった。
ユノも影の足の早さを考えて、少し待ってから角を曲がる。
すると───……
「きゃっ」
……何かにぶつかった。
勢い余ってユノは短い悲鳴をあげこけかける。
それをぶつかった影がユノの腕を掴み引き止めてくれた。