ブルービースト

「そうですよ。ブロードさんがいなかったら、私はお兄ちゃんと一緒にいられなかった」


「…僕は生きてなかったでしょうね」



シエラとクリスは囁くように言うと、揃ってクスッと笑った。



何を思い出しているのかはわからないが、憂いを帯びた笑い。




「…ブロードさんはね、人を助けるとき決まって言うんですよ。


『笑って。笑ったら、どんなに辛くても楽になるから。』


って。

そこらへんにあの人がいっつもへらへらしてる理由があるんじゃないですかね。」


「………………。」




いつになく饒舌なクリスに驚くと同時に、ユノはブロードの言葉にも度肝を抜かれた。



ただのへらへら馬鹿ではなかったらしい。




しかも、ここにいる皆はブロードのおかげでああして馬鹿していられると言う。






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