ブルービースト

「よっしゃあ!いざ・しゅっぱあーつ!!」


幼稚園児みたいな掛け声をあげると、ブロードはポチを引き連れ部屋を出て鍵をかけた。



外に出るにはフロアリビングを通らなければいけない為、そちらに向けて歩く。





「ポチー、もしかしたら桜が咲いてるかもしれないぞー」


「きゅん?」


「ほら、あれだよ。ピンクの綺麗なお花。去年お花見しただろう?」


「わん」




……理解したのかしていないのか。




よくわからないがブロードは満足そうに笑う。





「来年も見ような、ポチ」


「わん♪」


「………約束な」


「…わんっ!」





──…一瞬陰った笑顔。



それを見たのか、ポチは二度目の返事にやたらと力をこめていた。




ブロードはまたへらっとしたいつもの顔に戻ると、ポチを抱き上げフロアリビングに入る。







< 59 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop