ブルービースト
「よっしゃあ!いざ・しゅっぱあーつ!!」
幼稚園児みたいな掛け声をあげると、ブロードはポチを引き連れ部屋を出て鍵をかけた。
外に出るにはフロアリビングを通らなければいけない為、そちらに向けて歩く。
「ポチー、もしかしたら桜が咲いてるかもしれないぞー」
「きゅん?」
「ほら、あれだよ。ピンクの綺麗なお花。去年お花見しただろう?」
「わん」
……理解したのかしていないのか。
よくわからないがブロードは満足そうに笑う。
「来年も見ような、ポチ」
「わん♪」
「………約束な」
「…わんっ!」
──…一瞬陰った笑顔。
それを見たのか、ポチは二度目の返事にやたらと力をこめていた。
ブロードはまたへらっとしたいつもの顔に戻ると、ポチを抱き上げフロアリビングに入る。