ブルービースト
「もういいです、貴方の相手してたら疲れます。こっちが熱出そう」
眉を下げて見てくるブロードにそう言うと、ユノはそっぽを向いた。
リストカットを見た罪悪感からか。
──…彼の顔を真っ直ぐ見れない。
「熱?ユノ大丈夫??」
「………貴方の頭が大丈夫ですか」
本気で心配そうに言うブロードにもユノは冷たく返した。
本当にこの人は天然なのか鈍感なのか。
自分の熱のことを言われているのに気付きやしない。
──…ユノがわかりにくすぎるのかもしれないが。
とにかく話が噛み合わない。
「……くぅん」
ブロードが頭上に?を浮かべて突っ立っていると、ポチが不意に鳴いて彼の腕に鼻を押し付けた。
気付いたブロードはポチを抱え直す。
「ん、そろそろ帰ろっか。ユノ、行こう」
「……………はい」
爽やかな笑顔を向けられ、それも直視出来ずにユノはしかめっ面で小さく答えた。
それでもブロードは優しくこっちを見てくれる。
──…手首を見られたと知ったらどうなるのか。
想像するのも怖くて、ユノは考えるのをやめた。
はじめて思った。
──…嫌われたくない、と。