ブルービースト
-Ⅱ-
「……いい加減にして下さい。殴られたいんですか」
「え?俺Mじゃないよ」
――…ユノが第一部隊に来て三週間。
戦武中将ブロード=グァルナンドの執務室では、ある男女の言い争い(一方的)が起きていた。
「MとかSの問題じゃありません。いつになったら仕事するんですか?」
このご立腹な女の声はユノのもの。
そして、
「さぁ。今は仕事がしてほしくないって言うからさぁ~」
などという意味不明な言い訳をするのが、ブロード。
ユノは中将補佐になり、かなり苦労していた。
何しろブロードがサボるサボる。
何故急に補佐などという役職が出来たのかが何となくわかってしまった彼女だった。
はぁ、と溜め息をついてユノは少し動きを見せる。
それをブロードは不思議そうに見ていた。
「………そうですか。仕事が喋るんですか。殺しますよ」
「…ッえぇええぇえ!?タンマ!
わかりましたわかりました!
仕事やりますやらせて下さい!!」
ユノが取り出した短剣を見て、ソファーで寛いでいたブロードは慌てて仕事に飛び付いたのだった。